これから、グラフィックデザイナーを目指す方に、現役グラフィックデザイナーの私がグラフィックデザイナーの「良い所」と「悪い所」を本音で伝えたいと思います。
グラフィックデザイナーの良い所7選
1.単純にデザインが楽しい
どのデザイナーも言うのが、デザインって楽しいってことです。
グラフィックデザイナーを目指すみなさんは、絵を描くことが好きだったり、自分の感性で何かを作ること、何かを生み出すことが好きな人だと思います。
そんな人にはぴったりの職業だと思います。
もちろん、大変なこと、辛いこと、嫌なこともあるのでたまに嫌になることはありますが、それでも、やっぱりデザインはすごく楽しいです。
2.手に職がつく
グラフィックデザイナーは、何か資格が必要な職種ではありません。
ただ、ソフトの操作方法の習得、デザイン能力、印刷物の知識など数年単位で経験しないと身につかない物が多く一度習得してしまえば働き口に困ることはあまりないです。
さらに近年、デザインの重要性が見直されており、デザイナーが製品開発から携わったり、地域活性化に取り組んだりと様々なところで需要が広がっています。
3.世の中に影響を与えることができる(達成感がある)
自分が作ったデザインで多くの人に影響を与えたり、商品が売れたなど反響があることはやりがいを感じますし、嬉しいです。
多くの人に見られる物だからこそ、デザインをたくさん考えたり、修正なども多く発生する事もあり、やっと出来上がったデザインが世の中に広まったときは大きな達成感も味わえます。
その分、責任やプレッシャーはあるので、デザインに時間をかけたり、ミスがないか確認する作業をたくさんしたりと大変な面もあります。。。
4.仕事が飽きない
ルーティンワークではないので、毎回違う仕事になり、飽きることはないです。
同じ内容、同じクライアントでも、時期やタイミングで全く違ったデザインを求められるので、毎回答えが違う大変さもあります。
会社によっては、同じくような仕事ばかりの会社もありますので、色々なデザインをしたい場合は、入社前にしっかり確認してください。
5.華やかな仕事も多い
全てではないですが、芸能人と仕事をしたり、日本中で色々な人の目に触れるデザインをする事もあります。
自分がデザインした物を日常生活で見ることも多く、誇らしさや達成感を味わう事が出来ます。
もちろん、地味な仕事もたくさんありますが。。。
6.色々な物をデザインできる
webデザイナーやパッケージデザイナーなどグラフィックデザイナーに近い職種と比べて、グラフィックデザイナーは圧倒的にデザインできる物が多いです。
グラフィックデザイナーがデザインする可能性がある物
webデザイナーやパッケージデザイナーもそれぞれ別のものをデザインすることもありますが、ここまで広い範囲をデザインすることはありません。
色々な物をデザインするのは楽しいです。
7.自由に働ける
デザイナーは手に職がつくので、転職もしやすいですし、独立してフリーランスになったり、自分の事務所を構える人も多いです。
この業界は、キャリアアップ・年収アップのために転職するのが、当たり前の業界なので、転職した回数は問題になりません。もし、会社に合わないなと思ったら転職しやすい業界なのは働きやすいです。
一人で完結できる仕事でもあるので、会社に所属していても、在宅勤務が許可されていたりと、働き方はこれからさらに自由になっていくと思います。
グラフィックデザイナーの悪い所7選
1.労働時間が長い傾向がある
所属する会社や部署によって違いますが、業界全体として見た場合は全体的に労働時間が長い傾向にあります。
以前に比べて、労働環境が改善されつつありますが、入社する会社によっては終電で帰るどころか、会社に泊まる必要が出ることもあります。
今は、そういったブラックの会社は人が集まらなくなっているので、淘汰されていますが、まだまだブラックな会社は多いです。
2.一人前になるまで時間がかかる
一人前の定義にもよりますが、早くて1年ぐらいで、遅いと5年ほどかかると思います。
その間は、先輩デザイナーの手伝いやデザイン以外の仕事が多くなると思います。会社も育てる必要があるので、デザインの仕事もさせますが、先輩デザイナーが作ったデザインをもとにクライアントからきた、ちょっとした修正を担当するなどがメインの仕事になります。
一人前になるまでは、仕事がつまらなかったり、辛かったりしますが、数年我慢すればかなり楽しくなるので、頑張ってくださいね。
3.色々な人の意見に左右される
デザインに対して、いろいろな人から意見が出ます。
クライアントはもちろん社内のディレクターや営業、さらにクライアントとの間に代理店が入っていると、さらに代理店からの意見もあります。
もちろん、意見を出し合ってより良くするのはいいことなんですが、それぞれが違うことを言ったり、意見のすり合わせされないままデザインの修正を行うことがあります。
そうすると、意見を受けて直した物を見た、別の方から前のデザインの方が良かったという意見が出て、元のデザインに戻る、という事も結構あります。
デザインは答えが一つでは無いため、関係者それぞれがデザインに対して、答えを持っていて、なかなか意見がまとまらず、振り回される事もあります。。。
4.勉強する事が多い
デザインは流行りがありますし、常に新しい表現方法が出てきますので新しい表現方法や考え方をインプットしないといけません。また、ソフトも同じく新しい機能、新しいソフトが出てきますので、学ぶ必要があります。
グラフィックデザイナーの良いところで、色々なデザインができるという反面、それぞれのデザインで気をつける所も学ばないといけません。
この様に、デザイナーはたくさんのことを学ぶ必要があります。
5.印刷物の需要が減っている
グラフィックデザイナーが主にデザインするのは、印刷物になります。しかし、印刷物がwebやSNSの発展でその紙媒体の需要が減ってきています。
では、今後グラフィックデザイナーの需要がなくなるかというと、そんなことはありません。どちらかというと、仕事の幅が広がると思っています。
私は、印刷物と一緒にwebや映像のデザインも頼まれることがかなり増えました。そのため私の仕事の割合は、グラフフィック4割、web4割、映像2割の割合に変化しています。
今後は、私の様にグラフィック以外もデザインする様になるグラフィックデザイナーが増えていくと思います。実際に、そういった業界の需要から、グラフィックとwebデザインができる人材を育てる学校も出来てきています。
いい点でも言いましたが、グラフィックデザイナーはデザインする物が多いので自分次第で、いくらでも需要のあるデザイナーになることができます。
ただ、印刷物しかデザインしないというグラフィックデザイナーの場合は、競争が激しくなっていくと思います。
6.デザイン以外の仕事も多い
デザインがしたくて、デザイナーになったのに、デザイン以外の仕事に時間を取られる事もよくあります。
デザイン以外の仕事だと、打ち合わせ、文字校正、撮影ディレクション、見本作り、入稿データ制作、印刷所の手配などがあります。
ここで挙げた業務は、入社した会社関係なく、ほとんどのグラフィックデザイナーが行う業務になります。
よく勘違いされるのですが、デザイナーは黙々と一人でデザインを行っている訳ではなく、「打ち合わせ」、「撮影ディレクション」「印刷所の手配」など、社内外の関係者とのやりとりも多いのでコミュニケーション能力は非常に重要になります。
7.辞める人も多い
デザイナーになって仕事が合わず辞める人もいます。
辞める人の理由は、大体この3つです。
私自身、最初の会社と2社目の会社は、この3つが理由でやめました。ただ、この3つの理由は、時間と転職で解決することができます。
まず、一人前になるまで、この3つに当てはまる可能性は高いです。なぜなら、他の職業と違いデザインは教えればすぐできるものではありません。人によっては、いくら教えて経験させても、なかなか上達せず数年かかる事もあります。
そうなると、デザイン時間がかかり、労働時間は長くなります。会社もデザインができないデザイナーの給料を高くすることができません。会社でも、デザインができないせいで、周りの先輩や同僚にフォローしてもらう必要があり、それが続くと人間関係もうまくいかないという悪循環に落ち入り辞めてしまいます。
一人前になると、この3つ全てが改善されます。
もしそれでも、改善されなければ、会社を変えると解決します。腕のいいデザイナーは引く手数多です。私は、何回もデザイナーを辞めようと思ったことがあります。それでも、数年我慢して1人目になり転職すると全てが変わりました。
新卒の頃の自分に言っても信じないと思いますが、こんなに楽しい職業はないと今では思っています。
私が、偶然うまくいった可能性もありますが、これは同僚や友人のデザイナーに聞いても同じ様なことを言っています。
最初の数年を耐えられるか、勇気を持って転職する事ができるか。この2つさえ乗り越えられるかが一つの壁になります。
最後に
みなさんいかがでしたか。少しはグラフィックデザイナーの実情が伝わったら嬉しいです。
無責任かもしれませんが、あくまでこれは私が経験、見聞きしたものでしかありません。
もちろん私は正しい情報と思ってお伝えしますが、それぞれ経験したことや働く環境は違うので、他のデザイナーからしたら違うという事もありますので、一意見として捉えてください。
この記事だけでなく、他のネットの情報や人から聞いた事も、あくまでその人の意見でしかありません。最後は自分を信じて進む道を決めてください。
私の時代は、こういった情報すらない状態でデザイナーを目指していたので、みなさんの選択の参考になれば幸いです。
みなさんが、いい選択をできることを祈っています。