私は、グラフィックデザイナーの専門学校を卒業し、制作会社や広告代理店を経由して、現在はweb・アプリデザイナーとして働いています。
10年以上、デザイン・広告業界に携わってみて、今からデザイナーを目指す方に「失敗しない美大の選び方」をお伝えしたいと思います。
- 美大の選び方の基本
- 美大生の就職先
- おすすめの美大と学部
美大の選び方の基本
デザイナーを目指す、みなさんにとって美大は魅力的な選択肢の一つだと思います。
そんな美大ですが、多摩美、武蔵美、東京芸大などいくつか選択肢がありますが、その中からどういった基準で選ぶと良いかを紹介したいと思います。
自分が将来入りたい会社やなりたいデザイナー像を叶えている卒業生が多い大学を選んでください。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、実はこれができていない人が多くいます。私のデザイナーの同僚は、ほどんど美大卒業のデザイナーですが、大学選びで失敗した人も多くいました。
美大の選びの失敗事例
私のデザイナーの友人で、広告代理店で働きたかったのに、楽しそうという理由で専門学校を選んでしまい、都内の広告代理店へ就職できず、失敗した事例があります。
その人は、広告代理店は受かりませんでしたが、都内のデザイン会社に就職が決まり、デザイナーには慣れましたが、思い描いていたデザイナー像とは程遠く、挫折して一般の会社へ転職していきました。
こういったように、大学選びはあくまで、卒業のデザイナー人生を考えた上で選ばないと、良い学校選びはできません。
学費や学校生活、講師の先生などたくさんの判断基準がありますが、あなたの目標は大学に入ることでしょうか?あくまで、大学はあなたのデザイナー人生を望むもの、豊かにする手段であり、目的ではありません。
このことを念頭に、各美大の卒業生の就職実績を確認し、自分の理想とちかい就職実績のある大学を選んでください。
美大生の就職先とデザイナー人生
美大を卒業すると、どんな会社に入社できるのか?どんな労働環境で働いているか?などを紹介します。
大手広告代理店系
電通、博報堂、ADKなど大手広告代理店系はデザイナーの人気の就職先です。
- 給料がいい
- 大きなデザイン案件に携われる
- 有名なディレクターのもとで仕事ができる
- 営業はもちろん、コピーライター、プランナーなどそれぞれのプロフェッショナルと分業で働ける
- 代理店からの転職先に困ることがない
- 労働時間が長い
- 以前より、代理店の力が弱ってきている
- 上司のパワハラの傾向が強い
- 歴史が古い分、昔ながらの考え方や社風があり、自由度は低い
- IT系の企業に比べオフィスや福利厚生が最先端ではない
労働環境は、以前よりマシになっていますが、相変わらず激務ではあります。ただ、その分得られる能力、ノウハウ、人脈などは他の就職では得られないものが多く、佐藤可士和などの日本を代表する、デザイナーが多く在籍、排出されているのも大手広告代理店です。
代理店で働く、優越感やデザインを行う案件の大きさなどは、間違いなくあり、デザイナーの花形とも言える就職先です。
大手メーカーや一流企業のインハウス
資生堂、花王、楽天、など大手企業のインハウスデザイナーも美大卒業生の人気の就職先です。
グラフィック、web、服飾、立体、など各種デザイナーで需要があり、この企業に入りたいと思って美大に入る人もいると思います。
- 労働時間が短い傾向にある
- 給料を含めた福利厚生がしっかりしている
- 急なデザイン依頼が少なく、しっかりとデザインに時間がかけられる
- 社内からの依頼なので、交渉次第で期間やデザインのコンセプトなどの自由が効く
- 一つのブランドや会社に集中して携わるので、マーケティングやブランディングなどの知識が付きやすい
- 製品開発やブランドの立ち上げなどを間近で見ることが出来る
- 自社のデザインしか行わないため、デザインの幅や得られるノウハウが偏る
- 同じようなテイストのデザインばかり作るので、新鮮味が薄れる
- そもそも、募集されている数が少ない
労働環境が良く、目に付く商品のデザインをすることもできるので、美大生に人気の就職先です。
ただ、そもそもの募集枠が少ないので、就職の倍率は高いのが難点です。
転職では、広告代理店やデザイン会社で働いたデザイナーが転職したがることが多く、広告代理店や有名デザイン会社で10年ほど勤めて、一流企業のデザイン部のディレクターや責任者になるパターンが多いです。もし悩んでいたら、そういったキャリアもあるということを知っておいてください。
有名デザイン会社、デザイン事務所
日本デザインセンター、ドラフトなど有名なデザイン制作会社に入るのも多くの美大生の就職候補になります。
- 有名なデザイナーのもとで働ける
- 様々なデザインに携われる
- 大きな案件に関われる
- 労働時間が圧倒的に長い
- 給料が安い傾向にある
- 著名なデザイナーが立ち上げており、その人に依存した会社となる傾向にある
美大卒のデザイナーはある程度有名なデザイン会社に入れる傾向にありますが、有名だからと言って安心はできません。有名なデザイン事務所でも、労働時間が長く、給料の安いデザイン会社は多いので気をつけてください。
また、有名なデザイナーが立ち上げていることもあり、次世代のデザイナーがその会社で出て来づらく、多くのデザイナーは有名デザイン会社にずっといるのではなく、独立したり、転職をしていることが多いです。
コンサルティング会社
コンサルティング会社と聞くと意外かもしれませんが、アメリカでは大手コンサルティング会社が、広告代理店やデザイン会社を買収し、コンサルティングからデザインまで行うのがあ当たり前になってきています。
その流れで、日本でもアクセンチュアなどでは、デザイナーの獲得を積極的に行なっています。
- 給料がいい
- 周りの人が優秀
- サービスや製品開発の段階から、コンサルティングで入っているので、上流からデザインができる
- コンサルティングから転職もしやすい
- 労働時間が長い
- 長く勤めている人が少ない
- 代理店やデザイン会社ほど幅広い案件には関われない
代理店やデザイン会社は、経営判断が終わった状態や製品、サービスの開発が終わってから、広告やデザインの依頼を受けます。
それ比べて、コンサルティングは、経営やサービス開発の段階からコンサルティングとして関わり始めて、そのままデザインまで受注してしまいます。
つまり、広告代理店やデザイン事務所に依頼をしようとする前に依頼を取ってしまうので、広告代理店などにとって大きな脅威になっています。
今後は、コンサルティング会社が関わる、デザイン案件が増えてきますので、有力な選択肢となります。
おすすめの美大と学部
ここでは、みなさんより先にデザイン業界に入っている先輩として、今業界が求めている人材になれる大学や学部を紹介します。
私が、紹介する美大や学部はあくまで、参考程度に考えてください。
多摩美術大学 情報デザイン学科
多摩美術大学の情報学科はおすすめです。
おすすめする理由は簡単で、グラフィックとweb両方を学べるからです。
今もそうですが、今後はより両方できるデザイナーが求められており、幅広く活躍したいならwebもしっかり学べる情報デザイン学科をお勧めします。
就職実績や卒業生の活躍なども、学科の紹介ページ載っていますので、よく読み自分の描いているデザイナーに慣れそうでしたら検討してみてください。
武蔵野美術大学 デザイン情報学科
武蔵野のデザイン情報学科も、多摩美と同じ理由でおすすめです。
グラフィックとwebを学べることは今後のデザイナー人生で必ず役に立ちますので、こちらも検討してみてください。
美大以外の学校について
デザイナーを目指す人は美大を一度は候補に入れるくらい、有力な選択肢だと思いますし、私もおすすめします。
ですが、金銭的、地理的、時間的な制限で、そもそも美大を選択肢に入れられない人も多くいると思います。
そういった方は、専門学校やスクール系の学校も選択肢に入れてみてください。
あなたが、専門学校やスクールなどにどういった印象を持っているかはわかりませんが、美大に行けなくても恵まれたデザイナー人生を送れているデザイナーはたくさんいます。
もし、美大以外の学校についても知りたいという人は下記の記事も参考になると思いますので、よければ見てみてください。